ラストサビー1
人はいつも一人で、自分自身の夢をもっている。そしてなんでも共有できる「もう一人の自分」を探してるんだと言っています。このもう一人の自分とはもちろん自分ではない誰か、「他人」を指しているわけですが、仮に「完全に自分に合う人」という存在し得ないような他人がもし存在してくれるのであればきっとそれは「もう一人の自分」という表現ができるということではないでしょうか。そしてそんな存在を信じられる人こそ本気で「もう一人の自分」を探そうとするでしょう。それが”探してる そっと 何もかも見せあえる もうひとりの自分を”の部分だと考えています。その意味で意識的に人間は「孤独」と抗おうとしているのかもしれません。
ラストサビー2 “いつまでもここにいられないのなら~” 出典: My lonely town /作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘
ここでいう”旅に出る”とはどんな意味なんでしょうか。「ここにいられない」の「ここ」は「My lonely town」であろうと思います。訳すれば「私の孤独な街」ですね。「自分自身の孤独な街にいられないなら、旅にでればいいじゃん。でもまたいつか嫌いになれないこの街に戻ってきてしまう」、さてこのmy lonely townとは何を表しているのでしょうか。それはおそらくこの歌のテーマになっている人間の孤独性について「その絶対的な孤独を肯定できる自分自身の心、考え方」もしくは単純に「自分自身の孤独」であると思うのです。つまり、”孤独を感じるのがいやなら、旅に出れば(誰かに出会えって一緒につるめば)いい、また人間の本質を理解して、オマエはまた孤独に立ち返るだろう”というようなメッセージではないでしょうか。それは”人間が孤独である”ということがデフォルトだとまず理解し、肯定しなければならないのですが、長い人生の中でその事にいつか自分自身でたどりつき、その考え方を自分の人生の礎とすることができるさ、という非常の奥が深い人生の応援歌だと僕は捉えています。
どうでしょう、「人の本質は孤独なんだよー」と誰かに言われてみても、「ほんと? そんなことないよね? 僕(私)には親しい家族も友達もいるよ」という風に思う方はむしろ普通だし健全だと思うんです。そう簡単には人間の孤独性なんて考えもしないし、そう誰かに言われても信じられない人だって多いと思います。しかし人間が個人の自由と感性を享受し、独自の考え方と行動を許される限り、突き詰めて考えばやはり「人は最終的には一人であり、孤独な生き物」なのです。
歌詞の解釈をもう少しマイルドにするなら”自分自身の孤独を肯定できないのであれば、好きなところへ行って別の考え方を試みてみたらいい。でもきっと最後には自分の孤独は否定しきれない真実だと気づくはずだよ、そしてそれを認めることは決して悪いことじゃないんだ”という意味合い(上の解釈を砕いた感じですが)を“嫌いになれないmy lonely town”と表現しているのではないかと思います。
さてさて、まとめ
シンプルに描き出してはいますが非常に深く、人間の本質的なテーマを描いた歌詞であると思います。短い歌詞でこれだけうまく人間の孤独とすれ違いを表現できるのですからやはり稲葉さんの作詞力は凄まじいと思います。そのテーマはとんでもなく深淵です。
歌詞解説中にも説明をしていますが、人間がどうしても分かり合えない生き物であるということはさまざまな事例から垣間見えるかと思うんです。愛し合う二人が破綻し離婚すること、同じように育てれたきょうだいが仲たがいすること、いじめが起こること、果ては同じ神を信じる国同士が戦争すること、、、。もし”互いのことを分かり合うのが可能”であればこういうことは起こらない、仮に起こるとしてももっともっと起こる可能性や回数は低いと思うんですね。人類の歴史は戦争の歴史、などと言ったりしますが、もしお互いを分かり合うことができればそんな人類史になっていないでしょう。
このテーマは仏教的な価値観とも重なるとも思います。お釈迦様が説いたことは本質的には人間とは孤独なものであり、それを否定することはできないということでした(この歌詞のまんまです)。一人ひとりの人生に対し、”ただ一人、サイの角のように歩め”という言葉を残しています。何を隠そう人間の孤独とは多くはない哲学的な真理の一つです。
宗教的には愛しすぎ、それに溺れてしまうことを戒める仏教に対し、キリスト教は隣人との友愛を重要な教えとして説き、来世に行ったあとで愛するものとの永遠の関係を約束しているため、ロマンチックではありますが人間の孤独の本質はあまり重要視されません。余談になりますがそのせいでキリスト教で育った僕の嫁さんと仏教的な考えに親しむ僕とは、愛と孤独の解釈については全く話が合わなくなってしまいますw(女性にはロマンスを説かないといけないということですね、、、、、)
ともあれ、MY LONELY TOWNはB’zの楽曲の中でも特に人の本質に視点を当ててその哲学を描き出した楽曲。一般的には多く楽曲が愛を歌い、友愛や恋愛の賛歌となっているものが主流な中でこうした哲学を歌った歌はB’zっぽい気がするなあ、という気もしますね。また、人生経験を積んだ人間にしかこういう歌詞は書けないだろうなとも思います。僕の大好きな歌です!
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