星屑列車と二人の行方`
この歌詞で惚れ惚れしてしまうのは列車の背景と時間の流れ、そして主人公の男の気持ちがリンクし、それぞれの経過が見事に表現されている点ですよね。はじめは彼の気持ちと列車は燃え上がる夕日の海岸にあり、そして彼は冷静さを取り戻しつつ列車は星の輝く夜景の街中へ、最後に彼は自分自身の気持ちに見事にけじめをつけたとみられます、それを「トンネルを抜けていく」=新しい心境へとたどりつく、と各ステージでの心模様が列車の周りの状況と重なって表現されているのではないでしょうか。歌詞の視点はあくまで彼からの一人称となっていますが、その心境の変化と疾走する列車の背景とのリンクを美しく描き出しています。
それでは彼の状況描写から見える「彼女の心境」はどう捉えたらいいでしょうか。歌詞をよく見ても彼女のセリフや心境を直接的に表現した部分がほとんどありません。唯一の歌詞は1番に出てくる「憂い顔を気にしている」です。ここについても「気にしている」のが彼であるとも彼女であるともとれますが、いずれにしても彼女の心持ちは「心穏やかではない」ことが見て取れるかと思います。また、夫以外の男と旅行中でありながら彼女は結婚指輪をつけたままでいます。
人それぞれの考え方があるかもしれませんが、もし夫に愛想をつかしていたのであれば、いつもはつけていても恋人と旅行中くらいは指輪を外しそうなものです(それどころかそもそも普段からつけないかも)。また彼の心の想い「(君は)幸せな家庭に戻っていくのか」に示唆される彼女の状況、これらを総合して考えると彼女は一時的には彼と一緒に旅行に来てしまったものの、「彼女自身の家庭にまだ思いがかなり残っている」ことが伺えるのかと思います。つまり彼女にとっては男との行動は浮ついた成り行きのものであり、本気ではないということです。結局男にもそれはよくわかっており、最後に彼は自分の気持ちを抑えるに至る、と僕は解釈しています。
終わりに!
この楽曲名であるStardust train(星屑の列車)の星屑とは流れ星のことです。輝きつづける星ではなく、はかなく散ってなくなる流星、まさにこの二人のはかない関係を表しているということでしょう。冒頭の一節、「終点のない列車ならよかったのに、、」この言葉に先の見えない恋愛、つまり不倫への想いが集約されていると言っていもいいでしょう。
終点はこの旅の終わりであり、この列車に目的地があったとしてもハッピーエンドの見えない2人の関係にとっては次なる悩みの出発点でしかありません。終点へと続く過程、限られた時間の中にしか自分達の関係を見いだせない、そんな不毛でありながら切実な関係を一言で言い表しているように思えます。これは彼にとっては成就させられない恋、そして望まない終点なんて辿りつきたくはないのです。
余談!
余談ですが、この曲は僕が(別に不倫とかじゃありませんが)恋人と旅行で列車に乗る時はなんとなく聞いていたりしていた曲でした。なんかドラム音が列車の車輪と音とマッチして”ドキドキしたなあ~”という感覚、しっかりと覚えています。新しい曲ではありませんが、皆さんも恋人と旅行に行くときなんて、ちょっと聞いてみてはどうでしょうか?
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