そもそも”ピエロ”とは?
ここでタイトルにもなっている「ピエロ」の意味を少し考えてみたいと思います。
簡単に歴史を振り返ればピエロ(または道化師、クラウン、ジョーカーなど場所や時代、役割によって呼び方様々)は古く古代エジプト、ギリシャ時代から始まります。中世ヨーロッパの時代には王族や貴族などの特権階級が屋敷や城内に道化としての従者を雇っています。
彼ら宮廷道化師(ピエロ)は「愚者」としての位置づけで、君主や位の高い人間に無礼なことや言いたいことを好き放題言える唯一の存在でした。宮廷に仕える道化師は建前しか言えない王の代わりに周りの人間に王の本音を伝える役割もしていたそうです。その「本音」と「建前」に通じる存在として、ピエロの服は赤と白、や黒と白といったコントラストがはっきりした格好をしていると言われています。
また現代ではサーカスなどでもおなじみの道化/ピエロですが、その役割は愚者やおどけ役を演じることで自分自身を殺して周りの人間を笑わせることです。化粧にある「涙」は犠牲にし続けているピエロ本人の心の悲哀を表しています。
このおどけ役「ピエロ」の役割を照らし合わせてみると少し歌詞への理解の助けになるのかと思います。
いつもは周りの他人たちのために笑いを取っていた俺、”ひたむきで滑稽なピエロ”。しかしそんな自分を殺し続ける毎日についに嫌気がさして気持ちが爆発しちまった。密かに思いを寄せていた、雇い主であるボスの女を奪っちまったんだ! こうなったらおんぼろ車でどこまででも逃げてやるぜ。俺はもう俺として生きる、もうピエロなんてやめだ、俺は自由になるんだ! 死んだら死んだでいいぜ、、 涙は流さないさ、俺の人生は最初から”悲しいけど美しいLIFE”なんだから。 だから今、”見たこともない自由”をゲットするために”もう夢のスピードはゆるめねえ!”、、、
そんな風にとれるんじゃないかと思うんですね。
上記は「ピエロ」という言葉から想像できるストーリーラインですが、もっと現実的な受け止め方、リスナー個々人に当てはめた解釈の仕方もできると思います。
ざっと流してみるとこの歌詞は言葉の使い方といい、話の展開といいいおとぎ話のようなイメージを受けると思います。「女の子を奪ってコワイ人からポンコツカーで逃走劇」なんてまるで映画のワンシーンですよね。そういう意味ではこの歌詞はとても比喩的だと思うのです。つまり歌詞の一部だけであればいろんな人に当てはまるようなワードをちりばめており、聴き手に部分的な共感を与える、という感じでしょうか。何かから勇気を出して逃げ出した、新しい一歩を踏み出す決断をした、そんな経験がある聴き手はこの詩に何かしらの共感を感じるのでないでしょうか。ただこの歌詞をそっくりそのまま地で行く方はちょっといないでしょう。
例えばですが、、一例をあげてみましょう!
あるところに地方営業やっている証券マンがいました。彼は人一倍努力したのですがなかなか営業のコツがつかめず苦しい日々を送っています。クレームを出してくる客、ノルマをこなせと詰め寄ってくる上司、「もうダメだ、、、苦しい」、、彼は倒れそうになってしまいます。でも彼の心は諦めてはいません。なんとか食っていける力をつけなければ、、、
彼には思いを寄せる女性がいます。SNSで知り合った彼女です。しかし彼女は同じ国の人ではありません、海を越えた別の国で生活しています。彼女とは遠距離ですがお互いに想いを寄せています。毎日やりとりしてその絆は日に日に強くなっていきます、、、
ある日、彼は積もりに積もったストレスが爆発してしまいました。ノルマは何とかこなしていましたが金融商品の販売は結局、素人をだまして手数料を巻き上げるようなもの。正直に言えばお客さんに有利な金融商品はネットを探して買った方が自社の口座で売るよりもはるかにお客さんに貢献できるんです。「一体俺は何をやっているんだ、、、」 あるお客さんがせっかく預けてくれたなけなしの老後資金が相場の暴落で半分以下の価値になってしまった。彼はそのお客さんのすすり泣く声にやる気の全てを失ってしまいました。そんなことがあっても上司はノルマノルマの一点張り、、、、 心を引き裂かれるような思いとなった彼は何かが心の中で弾け、仕事をやめる決心をしました。彼女の待つところへ、あの国へ行ってみよう。そこで新しい生活を掴み取るんだ、、、、!
もしそんな話があるなら、きっと彼は「あいつ=上司」と決裂し、何もない徒手空拳の状態、まるで「ポンコツカー」に乗って向かうように「あなた」の待つ場所を目指します。心無い上司からの厳しいノルマと傷ついたお客さんからの言葉でまるで彼の心は「バリバリ喰いちらかされて」しまったようにボロボロ。新しい国ではほとんど味方のいない「さみしさで胸をかきむしるような」状況、でもその先を夢見て「浮かれたようにハンドルをきる」んです。証券会社をやめて「ひたむきで滑稽」な人生を生きているんだな、と本人は感じるし、周りもそう思うかもしれません。でも「見たこともない自由」を求めて、きっとその「スピードはゆるめられない」心境に違いありません。
とまあ、僕の感想ですがこの歌の歌詞はリスナーである誰かの人生の比喩表現です。きっとB’z好きのどこかのリスナーが上記の証券マンのようにその各々の人生に「ピエロ」の姿を照らし合わせているのではないでしょうか?
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